不動産登記・測量
不動産登記には、どこに、どんな不動産(土地や建物の物理的な状況)があり、それが誰の所有なのか等の状況を公示することで、安全で円滑な不動産取引ができるようにする役割があります。

不動産の調査・測量・登記

不動産登記は、土地又は建物について、物理的現況を表す「表題部」と権利関係を表す「権利部」に分かれています。
さらに権利部は甲区と乙区に分かれ、構成としては「表題部」・「権利部甲区」・「権利部乙区」の3部構成となります。

 

土地の表題部には、所在、地番、地目、地積が登記され、建物の表題部には、所在、家屋番号、種類、構造、床面積が登記されます。

 

土地家屋調査士はこの表題部の登記事項に必要な調査、測量を行い、申請手続等を所有者に代わって、業(仕事)として行なう唯一の国家資格者になります。

 

なお、司法書士は権利部への登記(所有権保存・移転登記、抵当権の設定登記等)を担当しますが、土地家屋調査士が行う「表題部」の登記が前提で、権利部への登記が可能となります。

 

1.土地の登記の種類

 

(1)里道・水路の払い下げを受けた時・・・・・・「土地表題登記」
(2)土地の一部を分けたい時・・・・・・・・・・・・・・「土地分筆登記」
(3)土地の用途に変更が生じた時・・・・・・・・・・「土地地目変更登記」
(4)登記簿の面積と実測面積が違う時・・・・・・「土地地積更正登記」
(5)土地(筆)を1つにまとめたい時・・・・・・「土地合筆登記」
※土地は筆という単位で呼び、1筆、2筆と数えます。

 

「土地分筆登記」とは、一筆の土地を2筆あるいは数筆の土地に分ける登記のことを言い、分筆を行うには、まず分筆する前の土地の全体の範囲を現地において確認し、さらには分割する各土地の範囲を特定しなければなりません。
手続きにおいて隣接所有者と境界立ち会いを行う必要があり、この立ち会いの結果、境界の確認ができたら、後日のトラブルを防止するため、その場所に境界標を埋設し、できるだけ境界の確認書を取り交わすことが必要です。
その後、確定測量を行い、その成果に基づき地積測量図を作成し、これを添付して所轄の法務局に分筆登記申請を行います。

 

「土地地積更正登記」とは、登記簿の面積と実測面積に違いある場合に、登記簿の面積を実測面積に書き換えたい場合に、法務局に対して申請をします。
手続きとしては、まず隣接する土地の所有者と立ち会って、境界を確定し、また隣接地に道路や水路などの公共用地がある場合は、その管理者(国県市区町村)とも立ち会って境界を確定します。
すべての境界が確定したら、土地面積を測量して、所轄の法務局に「土地地積更正登記申請」を行います。

 

「合筆登記」とは、数筆の土地を1筆にまとめる登記を言います。
合筆登記をするには次の要件を満たす必要があります。
1.所有者が同一である。
2.土地が隣接している。
3.土地の地目が同じである。
4.抵当権などの登記がない。
5.字名や地番区域が同じである。
一般的には以上の要件を満たしていれば合筆登記をすることができます。

 

2.建物の登記の種類

 

建物を新築した時・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「建物表題登記」
建物の一部を取壊した時・・・・・・・・・・・・・・・・「建物表題変更登記」
建物の増築をした時・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「建物表題変更登記」
建物の構造を変更した時・・・・・・・・・・・・・・・・「建物表題変更登記」
建物の種類を変更した時・・・・・・・・・・・・・・・・「建物表題変更登記」
建物を取壊した時・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・「建物滅失登記」
所有地に実際には無い建物登記がある時・・・・「建物滅失登記」
マンションなど区分建物を新築した時・・・・・「区分建物表題登記」

 

建物を新築した場合には、「建物表題登記」を行ないますが、所有者は1ヶ月内に建物表題登記を行うよう不動産登記法に定められています。
また建物を増築、敷地内に離れを建築、自宅の一部を店舗などにした場合も1ヶ月内に建物の変更登記をしなければなりません。(立体的に増築した場合は構造の変更登記も併せて行う必要があります。)

 

建物の変更登記手続きには、既存建物と増築部分の全体を調査測量し、図面その他の必要書類を添付し、建物の所在地を管轄する法務局宛に申請します。

 

建物を取壊した場合も所有者は、1ヶ月内に「建物滅失登記」をしなければなりません。
建物滅失の原因としては、取り壊しのほかに流失、焼失等がありますが、いずれの場合も滅失登記をしないと登記は永久に消えません。
登記簿から抹消しないままだと、新築した建物の家屋番号に枝番が付き、さも建物が二棟あるように見えたりして、不利益を被ることがあります。

 

3.土地の境界に関して

 

最近、境界をめぐるトラブルが多くなってきています。
相続などで代替わりし、事情を知らない隣同士が境界争いをするなどが典型的な例となります。
こうした争いを予防するため、少々登記測量の費用が掛かりますが、何と言っても、土地の境界点に永続性のある境界標を設置することです。

 

さて、境界標の種類には、石杭、コンクリート杭、金属標、プラスチック杭などがあります。
そのうちでも、頑丈な石杭やコンクリート杭を設置した場合は、人為的に動かすことがない限り、半永久的に動くことがない正しい境界点を表すことになります。このような境界標を永続性のある境界標といいます。

 

また、都市部などでは石杭やコンクリート杭が埋設できない場所があり、この場合は金属標を設置することになります。
この場合には、コンクリート側溝などの頑丈な場所にアンカーピンを埋め込む等して、金属標を固定させ、永続性のある境界標とすることができます。
なお、プラスチック杭は一般的には永続性は余り期待できません。